複層ガラスと二重サッシは同じ?特徴と導入するメリットを解説

暑さと寒さに強い窓として、最近「複層ガラス」を積極的に採用する住宅が増えています。

「窓ガラスはどれも一緒で、窓のリフォームをしても環境は変わらないのでは?」と思う人は多いでしょう。

しかし、窓は住宅の中での熱の放射率が高く、室内の快適性に大きく影響します。

 

今回は複層ガラスの特徴やメリットなどについて、詳しく解説します。

複層ガラスと二重サッシは同じ?特徴と導入するメリットを解説

複層ガラスとは?

複層ガラスは、2枚のガラスの間に乾燥空気を注入してあるのが特徴的です。

別名「ペアガラス」とも呼ばれることがありますが、ペアガラスは大手メーカーAGCの商標です。

 

現在の新築住宅の約70%が複層ガラスを取り付けており、他にもガラス3枚の間に乾燥空気を注入したトリプルガラスを採用する住宅も増えています。

複層ガラスと二重サッシの違いは?

よく、「複層ガラスと二重サッシは同じもの」と思われているのですが、2つはまったくの別物です。

複層ガラスは2枚のガラスが1セットの窓ガラスで、二重サッシは現在取り付けてある窓の内側に、新しく窓ガラスサッシを設置することを言います。

 

見た目はもちろん、特徴もまったく違うので、リフォームするときは、次の比較表を参考にしてください。

 

複層ガラス 二重サッシ
特徴 窓ガラスが2枚1セット ・窓ガラスは単体で2列設置

・窓サッシは2つ

機能性 結露や遮断熱に強い 防音や省エネに強い
開閉の手間 今までと一緒 手間に感じる

※窓2枚開閉するため

お手入れ 今までと一緒 手間に感じる

※ガラスやレールが2箇所に増えるため

 

複層ガラスは、ガラス部分が2枚ですがサッシは1つなので、開閉時や掃除の手間がかかりません。

今までと同じように暮らしたいのであれば、二重サッシよりメリットが大きいでしょう。

複層ガラスのメリットは4つ

複層ガラスへ交換する前に、リフォームするメリットを確認しておきましょう。

複層ガラスのメリット①:断熱性に優れている

複層ガラスは一般ガラス(1枚ガラス)に比べて熱流率が高いため、遮熱や断熱性に優れています。

断熱性を数値で比較すると約2倍、遮熱性は約10%も高いことから、複層ガラスを取り入れる住宅は暖かいと言われています。

 

例えば、寒い冬に窓側に座ると、窓からの冷気を感じたことがありませんか?

複層ガラスは、2枚のガラスと中間層の乾燥空気によって、外気熱を遮断する働きがあります。

また、室内の熱も外部へ流出しづらいため、一般ガラスよりも室温を一定に保てるのです。

複層ガラスのメリット②:結露予防

断熱や遮熱性が高い複層ガラスは、窓の結露を防止にも役立ちます。

結露は、窓の外と室内の温度に差があり、空気中の水分が冷やされて液体に戻ることで生じます。

複層ガラスは中間層があることによって、空気中の熱を伝えにくくするため、結露の発生を防ぐのです。

複層ガラスのメリット③:紫外線から守る

窓ガラスは紫外線を予防する働きがあるのですが、複層ガラスはガラスが2枚になったことで、紫外線の遮断率は2倍の効果が期待できます。

 

また、紫外線カットの機能性を取り入れた複層ガラスを選ぶことで、より高い効果を発揮します。

紫外線カットにより、太陽熱で室温の上昇を防いだり、窓付近の床や家具などの日焼け防止をしたりと、さまざまなメリットがあります。

複層ガラスのメリット④:空き巣・防犯性に強い

複層ガラスはガラスの枚数が多いため、空き巣にとって近寄りがたい住宅を作ります。

空き巣の多くは窓ガラスを割って侵入するため、できるだけ人目につかないように、簡単に窓を壊せる住宅を選びます。

 

複層ガラスは、一般ガラスより厚く破壊に時間がかかります。

さらに強化ガラスの使用や二重鍵などで手間がかかるタイプであれば、より防犯に強い窓となるでしょう。

複層ガラスに交換できる?リフォーム時の注意点

一般ガラスから複層ガラスへの交換は可能ですが、窓の形状やサッシの状況によって難しいケースもあります。

 

また、複層ガラスへリフォームしてから後悔することもあるため、注意点を確認しておきましょう。

高い遮音性は期待できない

複層ガラスはガラスが2枚に増えた分、防音性に優れていると思われていますが、実際は一般ガラスに比べると遮音性は低いです。

中間層の乾燥空気がバネのような働きとなり、耳で感じやすい低音域の音が共鳴し、室内の声が外に漏れたり、室内なのに風の音を身近に感じたりします。

 

一般ガラスより遮音性は低いのですが、防音性に強い複層ガラスを選ぶと遮音性は通常より高まります。

状況によって大掛かりな施工へ

複層ガラスへのリフォームは、一般ガラスで使っていたサッシとは別に、専用サッシの使用が必要です。

一般的に1枚ガラスの厚みは3mm、複層ガラスは12mmなので、サッシだけではなくレールの交換が必要なケースもあるでしょう。

 

レールまで交換すると大掛かりな施工となるため、窓サッシとガラスの間にアタッチメントで代用する方法もあります。

アタッチメントは金属製なので、樹脂サッシやレールと違って結露が起こりやすく、複層ガラスの効果(結露予防)が弱まる可能性があります。

劣化すると内部結露やひび割れが起こる

複層ガラスが劣化すると、2枚のガラスの間である中間層に結露が発生したり、外気温と室温の温度差によってひび割れを起こしたりする場合があります。

 

通常、めったに内部結露やひび割れは起こりませんが、直射日光が当たりやすく外と室内の温度差が激しいなど条件次第では割れることがあります。

複層ガラスのリフォームをするときは、万が一に備えてリフォーム保証の確認をしておくと安心です。

まとめ

複層ガラスは一般ガラスに比べて、遮熱性と結露に強い特徴があります。

また二重サッシとリフォーム方法がまったく違うので、窓を開閉する手間や見た目の印象を変えたくないのであれば、複層ガラスがおすすめです。

メリット・デメリットを踏まえて、リフォームを検討されてはいかがでしょうか。

 

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