断熱ガラスとは?ペアガラスや遮熱ガラスの共通点や違いを理解しよう

建物の設計段階でどんな窓にすればいいのか?
断熱ガラス、ペアガラス、遮熱ガラスなどどれも似ているようですがしっかり区別できていますか?

この記事では、冷暖房効果や省エネなど環境にもいい断熱ガラスの解説を中心に、ペアガラスや遮熱ガラスも紹介します。

目的にあったガラスを選んで、快適な空間づくりにお役立てください。

断熱ガラスとは?ペアガラスや遮熱ガラスの共通点や違いを理解しよう

断熱ガラスとは何か?

断熱ガラスとは、文字通り熱を通しにくくするガラスを指します。
一般的には複層ガラスと考えられているケースが多いようですが、断熱ガラスについて、種類や性能などをさらに深堀し、ガラス選びをより正確にしてください。
ご自身の快適な空間にあったものを選びましょう。

複層ガラスとの類似点や相違点など

確かに2枚のガラスを重ねると効果的に断熱ができるため、複層ガラスを単に断熱ガラスと表現しているケースをよく見かけます。

しかし、断熱ガラスはさらにその性能を引き出すため、重ねたガラスの中間層に特殊な気体を挿入するもの、3枚に重ねるもの、また、熱を遮る効果も演出できるものなどバリュエーションも多いです。その違いを理解しましょう。

断熱ガラスの種類とその特徴を紹介

断熱ガラスは、ガラスの枚数(2枚あるいは3枚か)、さらにガラスの中間層に対する特殊加工や挿入する気体などで断熱や遮熱の効果は変わります。

その種類と特徴を4つに分けて説明します。
違いなどをご理解ください。

ガラスの枚数で区別!複層ガラス

複層ガラスは、ガラスを2枚重ねているものを指します。
重ねたガラスの間は乾燥した空気層があり、外部と室内を2枚のガラスと空気層を利用して断熱効果を引き出します。

断熱効果は1枚のガラス(単板)のなんと約2倍です。
また、一般的に複層ガラスには遮熱効果はありません。

遮熱・断熱に効果あり!Low-E複層ガラス

Low-E複層ガラスとは、「Low Emissivitly(低反射)」の略です。
特殊な金属膜(Low-E膜)をコーティングし、この金属膜を複層ガラスの内側(空気層と接するところ)に添付すると、断熱だけでなく、外部からの日差しがもたらす熱を遮る効果も得られます。

断熱性能は標準的な複層ガラスの約1.7倍といわれ、さらに効果的になります。

北海道では常識!トリプルガラス

これまでにご紹介した2種類のガラスは、2枚のガラスの組み合わせでしたが、文字通りガラスを3枚重ねたタイプの断熱ガラスで、当然断熱効果もアップします。
北欧ではポピュラーで、日本でも北海道や東北地方で人気が高いタイプとなっています。

中間層は、乾燥した空気が標準ですが、アルゴンガスなどの不活性ガスを注入すると、さらに断熱効果を発揮してくれる寒冷地の強い味方です。

なお、遮熱への効果はありません。

遮熱も保温もばっちり!Low-Eトリプルガラス

3枚のガラスに対し、1枚から2枚にLow-E膜の特殊金属をコーティングしたガラスになります。
したがって、断熱効果および遮熱効果が最も高くなります。

ガラスの中間層にアルゴンガスなどを挿入し、Low-E膜なども施しており、4つの中で最も保温効果に優れ・遮熱にもばっちりです。

断熱ガラスの効果をさらに引き出だそう

その効果のカギはガラスの枚数だけではありません。
中間層を如何に活用するかでも断熱の効果はアップできます。
一般的な空気以外に不活性ガスの挿入や真空化がカギです。
設計時に工務店などに確認し、採用を検討してみましょう。

中間層に不活性ガスを入れる

標準的な断熱ガラスは、その中間層は乾燥空気の状態となっています。
中間層にはアルゴンガス、クリプトンガスなどの不活性ガス(ほかの物質と反応を起こさない化学的に安定したガス)を挿入して断熱性能のアップができます。

中間層を真空にする

中間層を真空にすると、熱の対流(流体による熱移動、流体とは気体や液体の総称)を防ぎ、断熱効果がアップします。
さらにLow-E膜を施すと、遠赤外線などの熱線を減らしますので、複層ガラスのなんと4倍の断熱力を発揮してくれます。

断熱ガラスのメリット・デメリットを理解しよう

断熱ガラスの特徴を理解したら、どんなメリットがあるのか、あるいは気をつけるべき点は何かなども理解して、ご自分にとって最適なものを選んでください。

冷暖房費が安くなるって本当?メリットについて理解しよう

なんといっても冷暖房費の節約ですね!
冷暖房温度がキープでき、通常より冷房では高く、暖房では低く温度設定ができます。

冷暖房費が年間数千円〜1万円ほどの節約が可能です。
また、省エネにもつながるため、リフォームなどで補助金の対象になるケースもあります。補助金が出るなら、コストアップも緩和されそうですね。
詳しくは工事業者などにご相談ください。

一番困るデメリットは?結露など断熱ガラスの不便なところ

光熱費の節約ができるメリットがある反面、注意すべき点もあります。
特に自宅のリフォームの場合、ガラス部分は単板が複層化となるため結露防止の効果が期待できます。

しかし、サッシ部分がアルミ素材のままだと、アルミ部分の結露を防ぐことまでできません。

したがって、リフォームの際はサッシやアタッチメント部分も樹脂製に交換するなどが結露対策には必要ですのでお忘れなく。

断熱ガラスと遮熱ガラスの違いを知ろう

ここまで、ガラスの遮熱性についても少し説明しましたが、断熱と遮熱は違います。
遮熱ガラスを使うシーン、断熱効果も得るにはどうすればいいのかなども理解しましょう。

遮熱ガラスを使う方がいいケース

遮熱ガラスは太陽光の熱をガラスで遮ってくれるものを指します。
カーテンを閉めた場合、光は一度ガラスを通して入ってくるため部屋は熱を吸収します。
したがって、西日が強く当たる部屋に設置するなどで、その性能を生かすコツです。

遮熱効果も兼ねたLow-Eガラスに注目

ガラスの中間層にLow-E膜をコーティングしたのがLow-Eガラスです。
屋外側のガラスにこのコーティングをした場合は遮熱効果が得られます。
Low Emissivitly(低放射)の効果を太陽光側で発揮してくれます。

室内側のガラスにもコーティングすれば、エアコンの空気を逃しにくくし断熱性がアップし、一石二鳥ですね。

まとめ

断熱なら複層ガラス、といってもその種類や特徴はさまざまです。
それぞれの種類の特徴や違いなどを理解して選ばないと、思うような費用対効果が得られなくなります。

リフォームの場合の結露対策が必要な一方で、補助金対象になる場合もあります。

部屋の方角や位置次第では、遮熱の必要性がある場合もあるでしょう。

窓は部屋を快適な空間にするために最も重要な部分といっても過言ではなく、ご自分にぴったりのものを選んでください。

 

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