ガラスは風だけでは割れない!
台風といえば、風です。そして、住宅の「窓」は、風がひとつの弱点です。
といっても、窓ガラスが風だけで割れることはほとんどありません。これは住宅を作るときに通常、耐風圧強度計算※をして、風に対して適切な強度を持つガラスを選定し窓ガラスとするからです。
ですから、窓ガラスが割れる大概の場合は、風ではなく風で飛んでくる木の枝や風にとばされた屋根瓦などが直接「窓」に衝突する場合です。
※耐風圧強度計算とは、設計条件に於ける「設計風圧」を告示第1458号に沿って算定し、「寸法」「支持条件」「ガラス構成」条件での「使用可否」「板厚検討」を行う計算のことをいいます。
「窓」に衝突してガラスが割れると大変!
風で飛んできた木や風に飛ばされた屋根瓦などが窓に衝突してガラスが割れると、ナイフの刃(ナイフエッジ)のような危険なガラス破片が部屋の中に飛んできます。もしその部屋に人がいれば、その身体に当たり大けがに繋がる可能性があります。住宅2階の窓に衝突して窓ガラスが割れたときには、もっと大変かもしれません。
ナイフエッジも怖いのですが、窓ガラスが割れてできる大きな「穴」に台風の強い風が一気に流れ込み、そのまま屋根を吹き上げてしまう可能性もあります。台風の雨風の中、屋根なし住宅になってしまうのです。
ですから、住宅の窓には、しっかりとした災害対策が必要です。
住宅の「窓」に災害対策を!
しっかりとした災害対策とは、すなわち、窓ガラスが割れないようにすることです。
ガラスが割れないようにするには、どうしたらよいでしょうか。
まず、考えられる一つは窓ガラス自体を別のものにすること。
例えば、シャッターや雨戸で守ることです。これは、窓ガラスを守るのに一番効果的です。
しかし、シャッターや雨戸がない窓や、シャッターや雨戸を取り付けることができない窓ではどうしましょう。こうなってくるともう窓ガラス自体を割れにくいように対策するしかありません。すなわち、割れにくいガラスを窓に使うのです。「割れにくいガラス」とは、例えば、「強化ガラス」「合わせガラス」、合わせガラスの一種の「防犯合わせガラス」です。これらを窓とするのです。これらのガラスを組み合わせて、「複層ガラス」にすることで、より「割れにくいガラス」(「防犯複層ガラス」)を作ることもできます。
「割れにくいガラス」とは?
「強化ガラス」とは
ガラスに対して熱処理を行い、ガラス表面に応力をためてガラスの強度を高めたガラスをいいます。ガラスの強度を高めるというのは、一般的に「割れにくい」という特長を持たせるということです。普通のガラス(フロートガラス)の強度の3~5倍の強度を持つことになります。
「合わせガラス」とは
2枚のガラスの間に、樹脂製の中間膜というフィルムをはさんでくっつけて、1枚にしたガラスのことをいいます。中間膜をはさんだ2枚のガラスを窯にいれて加熱圧着し、2枚のガラスを中間膜でくっつけるのでガラスを割ることはできても中間膜は破れず、ガラス自体を破ることが難しいガラスです。さらに、その合わせガラスの中間膜の厚さを30milから60miにすれば、災害対策としてのさらに「割れにくいガラス」を実現することができます(「防犯合わせガラス」)。
「複層ガラス」とは
外気の温度を室内に伝えにくい「断熱ガラス」ですが、中空層を挟んだ2枚一組のガラスのうち、1枚を「防犯合わせガラス」にすれば、「防犯複層ガラス」となります。
まとめ
ガラスは風だけでは割れません。しかし、風で飛んでくる木の枝や風にとばされた屋根瓦などが直接窓衝突する場合割れてしまいます。窓に衝突してガラスが割れるとガラス破片がナイフエッジになることも危険ですが、屋根を吹き上げてしまうことも危険です。
ですから、住宅の窓に災害対策として、割れにくいガラスを窓に使用しましょう。「割れにくいガラス」とは、強化ガラス・合わせガラス、さらに割れにくい防犯合わせガラス・防犯複層ガラスのことです。
窓を変えることで防犯性と安全性を高めましょう。