フロートガラスとは違う原料組成からなるガラスで、耐熱性能を持たせたガラスがあります。これが「耐熱ガラス(ホウケイ酸ガラス)」です。

耐熱ガラスは「熱膨張率※」が低いという特長があります。

耐熱強化ガラスは強度と耐熱性能を兼ね備えている!

耐熱ガラスとフロートガラス

耐熱ガラスとは、急激に熱を加えても割れにくくした、低熱膨張率のガラスのことをいいます。フロートガラスでは、急激に熱を加えても割れにくくするために低熱膨張率にすることはできません。

すなわち、ソーダライムガラスよりナトリウムを減じた異なる成分構成の「ホウケイ酸ガラス」において、初めて低熱膨張率ができます。低熱膨張率の実現は、普段、われわれが使用しているフロートガラスである「ソーダライムガラス」では、実現できないのです。

ソーダライムガラスでは、SiO2、Na2CO3、CaCO3を混合融解することにより作られます。Na原子はガラスを柔らかくして形を作りやすくする性質を持ちますが、Na原子が熱いときはその振動と膨張によってガラスが割れます。ホウケイ酸ガラスでは、SiO2、B2O3(酸化ホウ素)を混合融解することで作られます。B原子はNa原子と同様、ガラスの軟化に作用しますが、Na原子が少なくなり、熱いときはその振動と膨張が少なくなります。その結果はソーダライムガラスに比べてホウケイ酸ガラスは、3分の1程度だけ膨張します(「ホウケイ酸ガラス」の熱膨張率は、約 3×10-6/K(※)となり、ソーダライムガラスのおよそ1/3となります)。つまり、「ホウケイ酸ガラス」の成分は、このガラスは加熱膨張しにくくします。低熱膨張率であるため、「耐熱衝撃性」に優れています。

※熱膨張率は、温度の上昇によって物体の長さ・体積が熱膨張する割合を温度当たりで示したものです。単位は「毎ケルビン(1/K)」ですが、熱膨張率は 0 に非常に近い値になるので、「10−6(10のマイナス6乗)/K」 という単位で表すことが普通です。「ホウケイ酸ガラス」の熱膨張率の約 3×10-6/Kとは、「温度を1℃(=1ケルビン)上げると、1メートルあたり長さが約0.003mm 伸びる」ことを言います。

耐熱ガラスが使われるところ

ホウケイ酸ガラスは、低熱膨張率であるため、耐熱衝撃性に優れており、その結果、急激な温度変化が生じても容易に割れません。ですから、ホウケイ酸ガラスはガラスの破損については非常に安全な特性を有しており、例えば、家庭用オーブンや調理器具によく使用されます。

耐熱ガラス使用時の注意点

耐熱ガラスは、絶対に割れないガラスではありません。必要以上の力を加えれば割れます。また汚れて掃除するときに、クレンザーなどを用いて磨くと、表面に発生した微細な傷が原因で割れることがあります。

まとめ

耐熱ガラスは、フロートガラスのようなソーダライムガラスではありません。ホウケイ酸ガラスという成分構成の違うガラスで、この成分構成から、低膨張率を誇り、熱衝撃度が強いガラスです。

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