無色透明でまるでガラスのように見える素材の1つが「アクリル」です。
透明度が高いアクリルなら、窓ガラスの代用品として使えるのではと考える人もいるでしょう。
今回はアクリルガラスと普通のガラスの違いを解説し、その特徴や窓ガラスとして使用できるかについてまとめます。
アクリルガラスと普通のガラスの違い
見た目にはアクリルガラスと普通のガラスにはあまり違いが見られません。
ですがこの2つには大きな違いがいくつかあります。
素材の違い
普通のガラスは珪砂とソーダ灰、そして石灰石が主な原材料となっています。
これらを溶かし混ぜ合わせて冷やし固めたものがガラスです。
一方アクリルガラスは、アクリル樹脂という素材から作られます。
これはプラスチックの仲間で、プラスチックの中では耐久性が高く透明度が高い素材です。
重さ
普通のガラスとアクリルガラスだと、アクリルガラスの方が軽くなります。
アクリルガラスの重さは普通のガラスの半分程度です。
透明度
普通のガラスは無色透明に見えますが、わずかにガラス特有の色味があります。
透明度ではアクリルガラスの方が高く、ほぼ無色透明といわれています。
割れやすさ
普通のガラスは割れやすいのがデメリットといわれています。
一方でアクリルガラスは強度が高く割れにくい特徴を持っています。
また割れにくいアクリルガラスは普通のガラスよりも加工しやすい点も特徴の1つでしょう。
アクリルガラスは窓ガラスとして使えるか
似た見た目を持つ普通のガラスとアクリルガラスですが、紹介した通り2つにはさまざまな違いがあります。
軽く透明度も高い、さらに割れにくいといった特徴を持つアクリルガラスは、普通のガラスよりも窓ガラスとして使用しやすい素材のように思えるかもしれません。
ですが、一般的にアクリルガラスを窓ガラスとして使用することはあまりありません。
それは次のような理由があるためです。
熱に弱い
普通のガラスに比べると、アクリルガラスは熱に弱い性質があります。
直射日光などを浴び続けると劣化しやすくなります。
一般的なガラスの場合、その耐熱温度は110℃ほどありますが、アクリルガラスの場合は80℃ほどです。
ガラスでも特に強度が強いといわれている強化ガラスの場合は耐熱温度が200℃ほどと大きな違いが出てきます。
傷ができやすい
普通のガラスは傷がつきにくい素材といわれています。
衝撃には弱いガラスですが、簡単には傷つくことはありません。
一方、割れにくいアクリルガラスですが、傷つきやすいというデメリットを持っています。
風雨やほこりなどに晒される窓に使用すると、傷だらけになり当初の透明度が損なわれていくでしょう。
価格が高い
ガラスとアクリルガラスだと、価格はアクリルガラスの方が高くなります。
熱に弱く傷つきやすいアクリルガラスをわざわざ高い価格で導入する必要性がないのです。
アクリルガラスが使われる場所
熱に弱く傷つきやすいというデメリットを持つアクリルガラスは、窓ガラスとしてはあまり使われません。
ですが、身の回りにはガラスの代用品としてアクリルガラスが使われている場所があります。
水族館の水槽
軽く透明度も高いアクリルガラスは、水族館の水槽の素材として多く使われています。
特に大水槽などは水槽に掛かる水圧が高いため、普通のガラスでは耐えきれず割れてしまいますが、アクリルガラスなら水圧に耐えられるのです。
水槽の中は水で満たされているため、高熱に晒される心配もありません。
そのため、水族館の水槽の多くがアクリルガラスで作られているのです。
飛行機の窓
窓ガラスとして使用されることがほとんどないアクリルガラスですが、飛行機や潜水艦などの窓に使用されることがあります。
やはり気圧や水圧の関係で普通のガラスでは耐えきれないためです。
また、普通のガラスは重く、できるだけ軽量化したい飛行機に使用する素材としては適していません。
軽いアクリルガラスの方がよいのです。
ショーケースなど
傷つきやすいアクリルガラスですが、割れないという特徴があるためショーケースなどに使われています。
また、高所に設置する窓や照明の傘などにも活用されています。
子どもが使用する一見ガラスのように見える玩具や道具類でも、割れないという特徴を活かしアクリルガラスが使われることが多くなります。
まとめ
普通のガラスによく似た見た目を持つアクリルガラスですが、窓ガラスとしての使用は耐熱性や傷つきやすさといった問題から不向きです。
価格面でもアクリルガラスよりも普通のガラスの方が低コストなので、わざわざ高いアクリルガラスを使用するメリットはないでしょう。
ですが、耐衝撃性の高さから、水槽や割れては困るものに使われることがあります。
また加工のしやすさもアクリルガラスの方が上です。
インテリアとしてガラスのような質感を求める場合、アクリルガラスがよく使われるのはこのためでしょう。