今の住まいで窓の結露や断熱性能に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
窓ガラスを「複層ガラス」に変えると今抱えている悩みを改善できます。

そもそも複層ガラスとは何かご存知でしょうか?
また、複層ガラスのメリット・デメリットについて、知らない方も多いはずです。

本記事では、複層ガラスとは何か、複層ガラスによる効果、そしてさらに性能を上げるLow-e複層ガラスについてご説明します。

複層ガラスとは?二重窓との違いとは?

「複層ガラス」とは、窓のガラスが2枚になってガラスの間の隙間に空気やガス(アルゴンガスなどの熱伝導率の低いガス)が入った構造の1枚のガラスです。

よく「二重窓」と間違われますが、二重窓は建物の外側と内側にサッシを取り付けて、それぞれに1枚のガラスを取り付けて、窓が二重になった状態をいいます。
二重窓はリフォームでよく使われる方法です。

複層ガラスと二重窓は全く違う種類の窓ガラスだとわかりますね。
見た目も施工方法も違う複層ガラスと二重窓ですが、実際の性能にはどのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、複層ガラスのメリット・デメリットについてを中心に、比較対象の二重窓についても説明していきます。

複層ガラスを選ぶ4つのメリット

複層ガラスにするか二重窓にするか悩むのは、この2つの違いをよく知らないからではないでしょうか。
ここでは、複層ガラスの以下の4つのメリットについて詳しく説明します。

● 防寒効果・断熱効果UP
● 見た目や使い勝手が今まで通り
● 結露の緩和
断熱や遮熱の効果UP

また、よく比較される二重窓のメリットについても簡単に紹介します。
2つの窓ガラスのメリットを比較して、どちらの窓ガラスがより自分達のニーズに合っているかを検討してみましょう。

防寒効果・断熱効果UP

1つ目のメリットは、防寒効果・断熱効果が格段に上がる点です。

冷暖房で適温にした室内の温度は、基本的には、窓から外へ逃げてしまいます。1枚ガラスの窓では、その1枚の窓ガラスが直接外気に接しているので、どうしても室温が窓ガラスを伝って(ガラスに伝導して)逃げやすくなってしまいます。

しかし、複層ガラスは、2枚のガラスの間に中間層があります。この中間層のおかげで、部屋側のガラスは、直接外気に接することはありません。ですから、部屋側のガラスが外気で詰めたくなったり暖かくなったりしないので、結果として、室温を外へ逃がさない効果が期待できるのです。つまり、防寒・断熱効果UPが期待できるのです。

見た目や使い勝手が今まで通り

2つ目のメリットは、複層ガラスは1枚のガラスですから、今までの窓と同じような見た目と使い勝手でいい点です。2重窓は外側と内側に窓があるため、外の風を入れる時は2度同じ動作をして窓を開ける必要があります。

複層ガラスはリフォームする場合、既存の窓ガラスを丸ごと取り除いて付け替えるため、見た目が元々使っていた窓ガラスとほぼ変わりありません。また、使い勝手も変わらないので、今まで通りに使えるメリットがあります。(複層ガラスの厚みによっては、サッシの変更が必要であることにご注意ください。)

結露の緩和

3つ目のメリットは、結露の緩和です。これも、外側のガラスと内側のガラスの間の中間層がしっかりと役に立っています。

結露は、水を含んだ空気が露点温度以下に冷やされることで発生します。露点温度とは、気体を冷却していくとき結露(水分の凝結)が起こる温度をいいます。冬の冷たい外気では、窓ガラスの外側の面が外気により冷やされ、冷たくなります。この冷たさが、ガラス自体に伝わって、室内側のガラスの反対面も冷たくします。そうすると、そのガラスの周辺の室内の空気は冷やされます。冷やされて、その室内側のガラス面の温度が露点温度以下になれば、窓ガラスが結露します。

複層ガラスは、外側のガラスが外気によって冷やされても、中間層がその冷たさを室内側のガラスに伝えません。その結果、室内側のガラスが冷やされることがありませんから、室内の水を含んだ空気が室内側のガラスで冷やされることはなく、結露しません。もちろん、これは程度の問題ですから、例えば氷点下20℃の外気は、いくら中間層があっても、その中間層の温度がおそらく氷点下まで下げられてしまい、そのままその温度を室内側のガラスに伝えるでしょうから、この場合は、水を含んだ室内空気が露点温度以下に冷やされることになり、結露します。つまり、複層ガラスの結露防止は絶対的な効果ではなく、相対的な効果です。複層ガラスを入れることにより、結露の緩和はしますが、防止にはならないことに、気を付けてください。

断熱や遮熱の効果UP

4つ目のメリットは断熱・遮熱・紫外線カット効果UPです。
これも2枚のガラスと中間層が活躍しています。

断熱は、窓ガラスの内部を伝わっていく熱量を小さくすることです。遮熱は、ガラスが日射による熱を吸収しないように日射を反射することです。

つまり、断熱の効果は、外の温度を部屋に伝えない、また、部屋の温度を外へ逃さないといったものになります。また、遮熱は、外からの日射熱を室内に入れないといったものになります。総じて、複層ガラスの2枚のガラスと中間層により、室内の温度が変化しにくくなります。断熱効果・遮熱効果UPは、冷暖房効率にも繋がります。冷暖房を使う電気の節約にもつながるので、複層ガラスに替えることは、家計にも良い影響をもたらしてくれます。

二重窓のメリットと比べてみよう

リフォームの際によく複層ガラスと比較される二重窓のメリットについても簡単にご紹介します。

● 既存の窓と二重に取り付けられるので、防寒・断熱効果UP
● 室内の音漏れを防止する防音効果、外からの音の侵入を伏せず遮音効果のUP
● 二重に取り付けられた窓によって、防犯効果UP
● 外側に付けられた既存の窓により、結露が発生にしにくくなる
● 室内側に窓を取り付けるだけで、施工方法が簡単なので1日で工事が完了する
● サッシの色を選べるので部屋の印象を変えられる
● 比較的安価で施工できる

複層ガラスと比較してみると、二重窓にも良く似たメリットがたくさんありますね。

複層ガラスを選ぶ3つのデメリット

リフォームの際に複層ガラスにするか、二重窓にするか悩む方は、この2つの窓ガラスに共通したメリットが存在するかではないでしょうか。そこで、複層ガラスの主な3つのデメリットについて詳しく説明していきます。

●1枚ガラス窓を複層ガラス窓に交換するときには、通常、サッシの交換も必要である。
● 防音・遮音効果はあまり期待できない。
●複層ガラス自体が高価である。

二重窓のデメリットと比べてみよう

二重窓のデメリットを下記にまとめました。

● サッシが二重になるため開け閉めの手間が2倍になる、
● 掃除の手間が増える、
● 室内側に取り付けるので部屋の雰囲気が変わる、
● 若干部屋が狭くなる、圧迫感がある
● 窓の種類によっては取り付け不可(横滑り窓、縦滑り窓など)

二重窓には安価で施工が簡単で、複層ガラスにはないメリットもありますが、その手軽さによるデメリットも存在します。今後生活するうえで上記のデメリットともうまく付き合っていくか、費用や施工の手間がかかっても複層ガラスにするか、しっかりと検討しましょう。

Low-e複層ガラスとは?期待できる効果は何か?

「Low-e複層ガラス」をご存知でしょうか。
「Low-e」は、ガラスの内側の表面の金属膜により、低放射を実現します。熱は、伝導・対流・放射で移動します。そのうち、遠赤外線などの電磁波などで熱移動が起こる「放射」に対して、電波を通さず反射するという機能を持つ膜がこの「Low-e金属膜」です。この金属膜により、外から入ってくる遠赤外線や紫外線といった電磁波をカットする効果が期待できます。。

家の窓丸ごとLow-e複層ガラスにできれば、非常に高い効果が得られますが、その分費用もぐっと高くなってしまいます。

費用を抑えながらLow-eガラスを採用する方法として、西側の窓だけをLow-e複層ガラスにして夏の暑い西日をシャットアウトすることも有効です。うまく複層ガラスとLow-e複層ガラスを使い分けて快適な家を作りましょう。どの部分にどのガラスを使うのかは、施工業者と相談しながら検討していきましょう。

まとめ

複層ガラスは、窓ガラスに関する悩みがありリフォームを検討している方にはぴったりのガラスではないでしょうか。

ただ、これまでご説明したように、たとえ高性能でも複層ガラスが今の自分の家に合っているのか、自分のニーズに合っているかはわかりません。

窓ガラスの交換を検討されている方は、複層ガラスだけでなく今回一緒にご説明した二重窓やLow-e複層ガラスについても性能を理解して、自分の家に合う窓ガラスを選びましょう。

 

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