ガラスの熱伝導率はどれくらい?窓と結露の関係とは?

「熱伝導率」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
どのくらい熱が伝わりやすいかを数値で表したもので、数値が高くなるほど熱が伝わりやすいことを表します。

ガラスにも熱伝導率があり、窓と結露の関係にも影響しているのです。
この記事では、ガラスの熱伝導率と結露の仕組みについて解説します。

ガラスの熱伝導率はどれくらい?窓と結露の関係とは?

ガラスの熱伝導率

「アルミニウム」という金属は、非常に熱伝導率が高いことで有名です。
その熱伝導率は250~221W/(mk)です。

次に熱伝導率が高いのは「鉄」で、84~80W/(mk)なので、アルミニウムが際立って熱伝導率が高いことが分かるでしょう。

ではガラスはというと、1~0.94W/(mk)です。
非常に熱伝導率が低いことが分かります。

熱伝導率が低いとどうなるのか

熱伝導率が高いと、すぐに熱を伝えられます。
よくコンビニやスーパーなどで、使い捨てのアルミニウム鍋に入った鍋料理の具材セットを見かけます。
アルミニウム鍋は片面を熱すると、すぐにもう片面に熱が伝わるため、素早く鍋の中の素材に熱が届くのです。

一方ガラスは熱伝導率が低いため、片面に熱を与えても、もう片面にはなかなか熱が伝わりません。
例えば、アルミニウム製の鍋敷きは見かけませんが、ガラス製の鍋敷きがあるのは、このためです。

厚みのあるガラス製の鍋敷きは、上に熱い鍋を乗せても下までなかなか熱を伝えないため、鍋敷きとして役立つのです。

結露の仕組み

次に、結露について解説していきましょう。
結露というのは、急激な気温の変化によって発生する「水滴」です。

空気には一定量の水分が含まれ、通常は水蒸気という気体で存在しています。
空気中の水分は、温度ごとに気体として存在できる量が定まっており、気温が高いほどその量は多く、気温が低いほど少なくなります。

ある温度で水分が気体として存在できる量(飽和水蒸気量)の単位は、mmHgで表されます。

気温の変化と飽和水蒸気量の変化

日本は夏になると高温多湿になり、冬になると低温乾燥の状態が起こります。
気温が高く、飽和水蒸気量が増える時期は、空気中に含まれる水蒸気量が増えるため、湿度が高くなるのです。
逆に気温が低くなる時期は、飽和水蒸気量が下がるので乾燥します。

この気温の変化が緩やかであれば、湿度も緩やかに変化していきます。
ですが、急激に変化が起こった場合はどうでしょうか。
今まで気体だった水分が、急に水蒸気として存在できなくなるため「水」に変化してしまいます。

暑い夏に夕立が発生するのは、昼間日光により暖まった空気が上昇気流により、急激に上空に上がるためです。
上空で一気に冷え、飽和水蒸気量を超えることで水になり、雨粒として落ちてくるのが夕立です。

この状況と似た現象が「結露」です。
例えば、暑い日に冷たい飲み物を飲もうとコップに氷と水を入れると、コップの表面にたくさんの水滴が付きます。
暖かい空気の中に含まれていた水蒸気が、冷たいコップ表面に触れることで飽和水蒸気量を超えてしまうことで「水」となり、コップ表面に水滴として付着したのです。

窓ガラスに結露が起こる理由

ガラスは熱伝導率が低いため、アルミニウムや鉄よりは片面の熱がもう片面には伝わりにくい素材です。
ですが、ガラスが熱を全く伝えないわけではありません。
屋内と屋外の気温差が激しいときには、屋外の気温が徐々に伝わります。
屋内の暖かい空気が触れることで、飽和水蒸気量が一気に下がり、窓ガラスには結露が発生します。

結露を防止するためには、熱伝導率を下げるか、飽和水蒸気量の急激な変化を避けることが必要となります。

熱伝導率を下げるには

窓の結露を予防するには、熱伝導率をより低い素材を用いる方法があります。
実は、ガラスよりも熱伝導率が低いものは、たくさんあります。

木は0.01W/mk、空気は0.024W/mkです。
さらに真空状態では、熱をほとんど伝えることはないとされています。
つまり、空気の層を作ることで、ガラスのみよりも熱伝導率は下がるのです。

この仕組みをうまく活用しているのが、ステンレス真空タンブラーです。
ガラスよりも熱伝導率が高いステンレス素材を使用していますが、結露を起こしません。
これはステンレスを2層にし、その間に真空層を挟み込むことで熱伝導率を下げて結露を防止しているのです。

ガラス窓も熱伝導率を下げるために、複層構造の「ペアガラス」を使うことがあります。
2枚のガラスの間に空気やアルゴンガスを充填したり、真空にしたりすることで熱伝導率を下げています。
さらにサッシも熱伝導率が低いものを選ぶと、サッシの結露を防げます。

まとめ

窓に使われるガラスは、熱伝導率が低い素材ですが、全く熱を伝えないわけではありません。
特に窓ガラスに使われるガラスは比較的薄いため、外の空気の温度は伝わりやすくなります。

そのため結露が発生するのです。
結露を防ぐには、熱伝導率を下げたペアガラスを活用するなどの工夫も必要でしょう。

また加湿のし過ぎも結露が発生する原因の1つです。
冬場は乾燥しがちなので加湿する方も多いと思いますが、湿度60%以上になると加湿のし過ぎによる結露が発生することもあります。

適度な加湿と熱伝導率が低い窓ガラスやサッシを活用して、結露防止を目指しましょう。

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