本来ガラスは熱に弱い素材ですが、高温に耐えられるガラスもあります。
それが、耐火ガラスです。

この記事では、耐火ガラスの特徴や、メリット・デメリットを解説していきます。

耐火ガラスの特徴とは?メリットとデメリットを紹介

 

耐火ガラスとは?

アイスコーヒーを作るときに、氷を先に入れて熱いコーヒーを入れても、ガラスのコップが割れることは少ないでしょう。
ですが、ガラスのコップに熱いコーヒーを入れたとたんコップが割れたり、熱いコーヒーが入ったガラスのコップに氷を入れたらコップが割れたりします。

ガラスは急激に温度が変わると、割れる性質があるのです。
ですが、このような急激な温度変化が起こっても、割れずに耐えられるガラスもあります。
それが耐火ガラスです。

どうして耐火ガラスは熱に強いのか

ガラスは、もともと熱が伝わりにくい素材です。
そのため片面に熱を受けても、反対側の面まで熱が伝わるのに時間がかかります。

一方で、熱により膨張しやすい素材でもあります。
熱が加わると、その面が膨張しますが、反対側にはまだ熱が伝わらないために、反対側は膨張しません。
片面だけ膨張すると、徐々に形状を保つことが難しくなり、割れてしまうのです。

耐火ガラスは、熱による膨張を起こしにくくすることで、急激な温度変化に耐えられるよう加工されたガラスです。
ガラス自体は熱により膨張しますが、熱により収縮する性質を持つ素材を混ぜ入れることで、熱膨張を相殺させます。
その結果、急激な温度変化を与えても、割れない耐火ガラスが実現したのです。

耐火ガラスのメリット

耐火ガラスを使うメリットには、どのようなものがあるかを紹介します。

延焼の防止

ガラスの周辺で急激な温度変化が起こるのは、何もコップに限った話ではありません。

火災による熱風もまた、ガラスに急激な温度変化を起こします。
火災時に熱風により窓ガラスが割れると、屋外の空気が室内に入り込むことで、炎の勢いが衰えず延焼が起こります。

ですが窓ガラスが割れなければ、室内の空気が徐々に減り、やがて酸素がなくなり火の勢いが弱まります。
つまり窓ガラスを耐熱ガラスにすることで、火災時に延焼を防ぐ効果が期待できます。

強度が高い

ガラスは、直接的な衝撃にも弱い性質があります。
もちろん、耐火ガラスも強い衝撃を受けると割れてしまいますが、一般的なガラスに比べると強度が高く、割れにくくなっています。

耐火ガラスの種類によっては、一般的なガラスの6倍の強度を持つものもあります。

外気の影響を受けにくい

もともとガラスは、熱伝導率が低く、熱が伝わりにくい素材です。
大きな窓ガラスでも、外気温の影響は受けにくいとされています。

ですが耐火ガラスは、一般的なガラス以上に熱伝導率が低いため、より外気温の影響は受けにくくなります。
そのため、冷暖房効果が一般的なガラスよりも高まるのです。

透明度が高い

防火地域や準防火地域では、開口部に耐火建材を使用する必要があります。
窓であれば、防火ガラスを用いるか、防火シャッターを備える必要があります。
このため防火シャッターがない開口部に、ガラスを使用する場合には、網が入った防火ガラスを用いているのです。

ですが中には「大きな開口部を作り、透明なガラスを使いたい」と考える人もいます。
その場合、サッシ選びに注意すれば、耐火ガラスを使うことで防火基準をクリアできます。
網入りの防火ガラスに比べると透明度が高く、視界も良い点がメリットでしょう。

防火ガラスより防犯面で優れている

網入りの防火ガラスは、万が一空き巣などに割られたときに、音がしにくいといわれています。
そのため、防火ガラスは防犯性の低さを指摘されることがあるのです。

一方、耐火ガラスは割れると大きな音がしますので、空き巣は防火ガラスに比べ侵入しにくいでしょう。
このような点から、防犯面では優れているとされます。

耐火ガラスのデメリット

次に、耐火ガラスを使うデメリットについても見ていきましょう。

サッシの種類によっては建築法に違反する

防火ガラスに比べて、視認性が高く見た目にも美しい耐火ガラスですが、防火地域や準防火地域では、防火ガラスの代用として耐火ガラスが使えない場合があります。

建築基準法により、延焼ラインに当たる開口部には、防火仕様の建具を使用しなければなりません。
日本のサッシメーカーが販売している、木造住宅用防火仕様の建具は、ほとんど網入りガラスで防火戸としての認定を受けているためです。

木造住宅で日本のサッシメーカーの防火戸を備えるとなると、どうしても網入り防火ガラスとなるのです。
耐火ガラスに入れ替えてしまうと、建築基準法に違反してしまう危険があります。

ただし、ビル用のサッシや海外製のサッシを使用すれば、耐火ガラスを使った防火戸も選択肢に入ります。

価格が高い

従来型の防火ガラスに比べ、価格は高くなります。
また、一般的なガラスよりも高くなります。

まとめ

耐火ガラスは、透明で美しいガラスの持つ特徴を活かしたまま、防火性能も備えるガラスです。
ですが建築基準法の定めで、全ての開口部を耐火ガラスに入れ替えられるわけではありません。
窓ガラスの交換を考える場合は、防火基準も含め考えるようにしましょう。

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